アルスターサイクル
アルスターサイクルは神々と人間が混在していた頃を描いた物語で、神話サイクルに続く第二の時系列の物語となります。このサイクルから「人間と神秘の共存」や「男女の悲恋」といった、アイルランド神話の独特のテーマが見受けられるようになります。
アルスターサイクルは、またの名を赤枝の騎士団サイクルとも言われ、赤枝の騎士団の活躍を中心として物語が描かれています。赤枝の騎士団には、このサイクルの主人公である クー・フーリンが所属していますが、彼は太陽神ルー(ダーナ神族)の子供で、半人半神の英雄です。
このサイクルの大部分は『クーリーの牛争い』という物語で占められており、その内容はエリン全土で牛を巡って戦争をするというものです。しかも、エリンの他に、クー・フーリンが修行する”影の国”という異界も巻き込んで、物語は展開されていきます。アルスターサイクルは、アイルランド神話の中でも最も混沌としていて、かつヒロイックな内容となっています。